役員挨拶

(一社)日本歯科医学会連合の
ダイバーシティー、インクルージョン、ビロンギング

住友 雅人
日本歯科医学会連合 理事長
住友 雅人

 (一社)日本歯科医学会連合(以下:学会連合)の事務所は千代田区の九段南にあります。北側には靖国通り,さらにその北側には皇居外堀があります。この外堀に沿って,桜と松の木々が植えられた土手が,四ツ谷駅あたりから二つ先の飯田橋駅辺りまで続いています。花見のころは多くの人で賑わうのが恒例の春景色でしたが,昨年も今年も,コロナウイルス感染症の流行のせいで人出が少なく,それはそれで寂しいものでした。このようなパンデミックのさなかでも,桜の木は何事もないように花を咲かせ,わずかな期間とはいえ,常盤の松の存在を消してしまうほどの勢いをみせました。木々にも心があるとしたら,この状況をどのように感じたでしょうか。
 この土手には,もう一つ季節の変わりを知らせる生き物がいます。セミです。私の前職の大学が飯田橋にありましたので,現在の最寄り駅の市ヶ谷駅で下車して,一駅分の土手を歩き,風のにおいや花の色が変わるさまを楽しむのが習慣になっていました。セミは7月20日ごろから鳴き始めます。この土手道は今は舗装されてしまいましたが,かつては土の道で,靴底にあたる土の硬さが変わる感覚でセミの登場を何となく予測することができたのです。それから,そうだ,もう7月も20日が過ぎるのだなと思うほどでした。
 ところが最近は,いわゆるゲリラ豪雨に出くわすことが多いので,最寄りの地下道出入り口を利用しがちで,この土手を歩く機会はほとんどありませんでした。先日のこと,新執行部理事が承認される学会連合の臨時社員総会の会場に向かうとき,久しぶりにというか,ほとんど無意識にこの土手道を選んで歩きました。頭の中は,今日の臨時社員総会の進行シナリオで満たされていたのです。そこへ突然,セミの鳴き声が飛び込んできました。思わず腕時計に目が行きます。7月14日,私が土手を通っていたころよりも,少なくとも1週間は早いじゃないか,最近の東南アジアのような気候変動の影響がセミにも及んでいるのかと,わが国や地球の温暖化にまで思いが走り,それまでいっぱいだった会議のことが,ふっとどこかに消えた一瞬でした。
 早いもので,2016年4月に創設された(一社)日本歯科医学会連合も,7月14日に4期目の執行部がスタートしました。同日開催された総会では,推薦された全理事が承認され,続く新理事による理事会で執行部3役が承認されました。私は今期の理事長に就任しました。新理事の任期は2023年6月に予定されている定時社員総会までです。今期は若い世代,女性も含めて10名の理事が就任しました。総力をもっていわゆるハイブリッド運営をめざします。
 学会連合は法人格を有する学術団体として5年が経過し,少しずつ社会にその存在意義が,会員には帰属意識が浸透してきたと感じているところです。今期は,これまでに積み重ねてきた成果をベースにし,大きく展開できると期待しています。常置委員会も必要な事業目的が見えてきて,任命された委員がそれぞれの能力を発揮できる環境が形成されています。
 さて,このご挨拶をもって今期の理事長の就任挨拶といたしますが,今期は,執行部三役がこのコーナーを3か月おきに交代で担当することになりました。本学会連合の進捗状況を,それぞれの視野でみなさんにお伝えできる機会になればと期待しています。なにはともあれ,学会連合の活動にご注目をお願いします。

令和3年7月14日

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